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CO₂排出量の算定方法がわからない

このメディアは、株式会社豊国エコソリューションズの監修・取材協力のもとZenken株式会社が制作・運用しています。

目次

CO₂排出量の算定方法

計算を始める前に、
目的・範囲・対象年度を決めましょう

CO₂排出量の基本式は「活動量×排出係数」です。ただし、数字を掛けるだけでは実務で使える算定結果になりません。取引先への回答、削減計画、法令報告、製品別の算定では、対象範囲や選ぶ係数が変わるためです。まず算定の用途を定め、電力・燃料など把握しやすいデータから全体像をつかみます。その後、必要に応じてScope3や製品単位へ広げると、手戻りを抑えられます。

目的
削減管理・取引先回答・
法令報告・製品算定
範囲
会社・拠点・Scope・
製品・対象期間
基準
算定ルール・排出係数・
単位・版

CO₂排出量は「活動量×排出係数」で算定する

基本の計算式

CO₂排出量 = 活動量 × 排出係数

活動量
電力使用量(kWh)、燃料使用量(L・kl・kg・Nm³)、輸送量(t・km)、購入金額など、事業活動の規模を表す数値
排出係数
活動量1単位当たりの温室効果ガス排出量を表す数値

たとえば、ガソリンを年間1,000L使用し、排出係数が2.29t-CO₂/klであれば、1,000Lを1klに換算して「1kl×2.29t-CO₂/kl=2.29t-CO₂」と計算できます。単位をそろえてから掛け算を行うのがポイントです。

なお、「CO₂排出量」と「温室効果ガス排出量(CO₂換算)」は同じ意味ではありません。メタンや一酸化二窒素などCO₂以外の温室効果ガスを含める場合は、各ガスの排出量に地球温暖化係数を掛け、CO₂換算量(CO₂e)として合計します。何を含めた数字なのか、単位とともに明記しておくと誤解を防げます。

※参照元URL:環境省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 算定方法・排出係数一覧」(https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/calc.html

算定前に目的・範囲・期間を決める

同じ会社でも、算定の目的によって必要なデータは異なります。社内の省エネ管理なら拠点別の電力・燃料データ、取引先への回答なら指定されたScopeや年度、製品のカーボンフットプリント(CFP)なら原材料から廃棄・リサイクルまでのライフサイクルが検討対象になります。

先に決める項目 確認する内容 曖昧なまま進めた場合の問題
算定目的 社内管理、取引先回答、法令報告、情報開示、製品算定 必要な精度や係数を選べない
組織・対象範囲 法人、子会社、工場、営業所、Scope、製品 拠点や活動の集計漏れ・二重計上が起きる
対象期間 暦年または事業年度、基準年、算定対象年 年度比較ができなくなる
算定ルール 依頼元の指定、国内制度、GHGプロトコル、CFPのルール 同じ活動でも集計範囲や結果が変わる

Scope1・2・3の違い

企業のサプライチェーン排出量は、排出との関わり方に応じてScope1・2・3に分けます。自社で直接燃料を燃やす活動と、購入電力の使用を混同しないように整理しましょう。

区分 意味 主な例
Scope1 自社が所有・管理する排出源からの直接排出 ボイラー、炉、社用車、製造プロセスでの排出
Scope2 購入した電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出 事務所や工場で使う購入電力、購入熱
Scope3 Scope1・2以外のサプライチェーン上の間接排出 原材料、輸送、出張、通勤、販売製品の使用・廃棄

初回算定では、請求書や給油記録から集めやすいScope1・2を優先すると、自社の排出構造を短期間で把握できます。ただし、取引先からScope3や製品別データを指定されている場合は、その要求範囲を先に確認してください。

※参照元URL:環境省「サプライチェーン排出量の算定」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html

CO₂排出量を算定する5つの手順

目的・対象範囲・対象期間を決める

「全社のScope1・2を事業年度で算定する」など、算定対象を一文で表せる状態にします。対象拠点、子会社、除外する活動も記録しておきましょう。

排出源を洗い出し、活動量データを集める

電気・ガスの請求書、燃料購入記録、給油カード、廃棄物管理票、会計データなどから対象期間の使用量を集計します。データの出所と担当部署もひも付けてください。

目的と年度に合う排出係数を選ぶ

公的な係数一覧や算定ルールを確認し、係数名、対象年度、単位、公開元、ファイルの版を記録します。前年の係数をそのままコピーしないことが大切です。

単位をそろえて計算し、集計する

Lとkl、kg-CO₂とt-CO₂などを統一してから計算します。拠点・排出源・Scope別に小計を出すと、削減余地を見つけやすくなります。

証憑・前提・変更履歴を残して見直す

請求書、係数表、換算式、推計方法、確認者を保存します。前年から大きく増減した項目は、事業量の変化、設備更新、データ漏れ、係数変更の順に点検すると原因を追いやすくなります。

Scope別のCO₂排出量算定方法

Scope1:燃料使用量やプロセスデータから算定

Scope1では、燃料種ごとの使用量に対応する排出係数を掛けます。ガソリン、軽油、LPGは単位が異なるため、購入記録の単位と係数の分母が一致しているかを確かめてください。燃料の燃焼以外に、化学反応や冷媒漏えいなどがある業種では、対象ガスや算定方法を別途確認する必要があります。

燃料種 排出係数 算定時の注意
ガソリン(揮発油) 2.29t-CO₂/kl 1,000L=1klに換算
軽油 2.62t-CO₂/kl Lで集計した場合はklへ換算
LPG 2.99t-CO₂/t 体積ではなく質量単位の係数
ナフサ 2.27t-CO₂/kl 燃焼用途か原料用途かを区別

上表は燃料の燃焼に伴うCO₂を計算する際の代表値です。Scope3や製品ライフサイクルの排出原単位として、そのまま流用することはできません。実際の報告では、対象年度に対応する最新版を確認してください。

Scope2:契約先・料金メニューと算定目的を確認

Scope2は、購入電力量や購入熱量に排出係数を掛けて算定します。電力の係数は事業者や料金メニュー、対象年度によって変わるため、請求書や契約情報と係数一覧を照合しましょう。

「基礎排出係数=ロケーション基準」とは限りません

国内の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度で使う基礎排出係数・調整後排出係数と、GHGプロトコルのロケーション基準・マーケット基準は、目的も算定要件も異なります。名称だけで一対一に置き換えず、採用するルールに沿って係数を選んでください。

国内制度では、提出年度と排出量の対象年度にずれがあります。公表ファイルの名称、対象実績、算定対象年度、提出年度をセットで控えておくと、係数の取り違えを防げます。

Scope3:15カテゴリを確認し、重要な項目から精緻化

Scope3は15カテゴリに分かれます。すべてを最初から同じ精度で集めるのではなく、対象カテゴリを判定し、排出量が大きい項目や取引先から求められる項目を優先すると進めやすくなります。

区分 カテゴリ
上流 1 購入した製品・サービス、2 資本財、3 Scope1・2に含まれない燃料及びエネルギー活動、4 輸送・配送(上流)、5 事業から出る廃棄物、6 出張、7 雇用者の通勤、8 リース資産(上流)
下流 9 輸送・配送(下流)、10 販売した製品の加工、11 販売した製品の使用、12 販売した製品の廃棄、13 リース資産(下流)、14 フランチャイズ、15 投資

初期スクリーニングでは、購入金額や重量など自社で集められる活動量と公表原単位を組み合わせます。重要なカテゴリが見えたら、取引先から製品別・工程別データを受け取るなど、一次データへ段階的に切り替えてください。

※参照元URL:環境省「Scope3排出量の算定」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate_03.html

排出係数で間違えやすい4つのポイント

確認項目間違いを防ぐ見方
年度「最新版」だけで選ばず、何年度の排出量に使う係数かを確認します。
目的法令報告、取引先回答、GHGプロトコル、CFPのどれに使うかを合わせます。
単位kWhとMWh、Lとkl、kg-CO₂とt-CO₂を計算前にそろえます。
版管理係数の出所、ファイル名、版、適用年度、参照日を記録します。

都市ガスは事業者別係数の有無を確認する

都市ガスの算定では、契約するガス事業者が係数を公表しているかを確かめます。事業者別係数が公表されていない場合まで、一律に「必ず事業者別係数を使う」とは限りません。採用する制度の算定方法に沿い、実測に基づく適切な係数や所管大臣が定める係数など、該当する扱いを確認してください。

データがそろわないときは、前提を残して段階的に精緻化する

初回からすべての一次データを集める必要はありません。まず全体の規模を把握し、排出量が大きい項目や意思決定に影響する項目へ調査時間を振り向けます。ただし、推計値を実測値のように扱わず、推計の根拠と限界を記録しておくことが前提です。

データ 向いている場面 注意点
一次データ 請求書、検針値、燃料購入量、取引先から受領した製品データ 重点排出源の削減管理、個別性が必要な算定 収集負担や欠損への対応が必要
二次データ 公表原単位、業界平均、統計値 初期スクリーニング、一次データがない項目 技術・地域・年度が自社実態と合うかを確認

算定台帳に残しておきたい情報

  • 活動量の数値・単位・対象期間・証憑
  • 排出係数の数値・単位・出所・版・適用年度
  • 除外した活動と、その理由
  • 欠損値の推計方法と使用した前提
  • 前年から算定方法を変更した箇所
  • 入力者・確認者・更新日

Excel・無料ツール・専用システムの選び方

ツールは「高機能かどうか」ではなく、算定範囲、更新頻度、拠点数、証跡管理、社外回答の頻度で選びます。小規模なScope1・2の初回算定なら表計算ソフトでも始められますが、係数の更新、数式の保護、入力権限、証憑とのひも付けを管理できる設計が必要です。

方法 向いている状況 確認したい点
表計算ソフト 拠点・データ量が少なく、まずScope1・2を把握したい 数式の誤更新、係数の版管理、属人化を防げるか
公的・団体提供ツール 定型項目を使い、低コストで可視化したい 対象Scope、採用係数、対象年度、外部提出への適合性
専用システム 多拠点・Scope3・承認フロー・継続開示を管理したい 既存会計データとの連携、証跡、係数更新、出力形式

法令報告の対象事業者は、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の公式案内と提出システムの要件を確認してください。自主的な社内管理用ツールで算定できることと、法令上の報告要件を満たすことは別の論点です。

無料ツールも「用途」と「採用係数」を確かめる

日本商工会議所の「CO₂チェックシート」は、2026年8月時点で2026年度版が公開されています。電気・ガスなどの月次使用量と料金を入力し、排出量やコストの推移を把握する初期ツールとして活用できます。一方、Scope3には対応しておらず、電気には調整後排出係数を用いる仕様です。別の制度や取引先様式へ数値を提出するときは、求められる範囲・係数との一致を改めて確認しましょう。

温対法などの法令報告では、原則として環境省の「EEGS」を利用します。旧来のダウンロード型「報告書作成支援ツール」は配布を終了しているため、過去の記事や社内手順書を参照する際は注意が必要です。

※参照元URL:日本商工会議所「CO₂チェックシート」(https://eco.jcci.or.jp/checksheet)/環境省「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」(https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/system.html

CO₂排出量の算定方法についてのよくある疑問

監修企業・豊国エコソリューションズに聞きました

CO₂排出量の算定を始める企業から寄せられやすい疑問を、実務で迷いやすいポイントに絞って整理します。

Q1CO₂排出量はどのような計算式で算出しますか?

基本式は「活動量×排出係数」です。年間のガソリン使用量が1,000Lの場合、1klに換算し、排出係数2.29t-CO₂/klを掛けると2.29t-CO₂になります。

計算前に、活動量と係数の単位、係数の対象年度、算定対象の範囲を照合してください。CO₂以外の温室効果ガスを含める場合は、地球温暖化係数を用いてCO₂換算量(CO₂e)にします。

Q2中小企業はScope1・2・3のどこまで算定すべきですか?

指定がなければ、請求書や燃料記録から集めやすいScope1・2で全体像をつかむ方法が現実的です。次に、取引先の要請、削減効果、排出規模を基準にScope3の優先カテゴリを決めます。

ただし、取引先回答、法令報告、認定、製品CFPなど明確な用途がある場合は、求められる算定範囲を先に確認してください。企業規模だけで一律に範囲を決めると、必要なデータが不足することがあります。

Q3CO₂排出量はExcelでも算定できますか?

拠点数やデータ量が少ないScope1・2の初回算定であれば、表計算ソフトでも対応できます。活動量、係数、単位、対象年度、証憑、計算結果を分けて管理し、数式セルの保護と確認者によるチェックを設けましょう。

多拠点の集計、Scope3のデータ依頼、承認履歴、継続的な社外開示が必要になったら、専用システムを検討する段階です。ツールを替える前に、現在の入力・確認作業のどこに負担やミスがあるかを整理すると選びやすくなります。

Q4データが全部そろわなくても算定を始められますか?

始められます。一次データがない項目は、公表原単位や業界平均などの二次データを用いて初期スクリーニングを行い、排出量が大きい項目から実測値や取引先データへ切り替えます。

推計を使った項目、採用した前提、対象外にした活動を算定台帳に残してください。概算値でも根拠を追える状態なら改善できますが、前提が不明な数字は翌年の比較や第三者への説明に使いにくくなります。

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引用元:豊国エコソリューションズ公式サイト(https://carbonneutral-hokoku.lp-essence.com/)

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