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「2050年カーボンニュートラル実現」に向け、日本国内でも脱炭素化の動きが加速しています。
その中で、特定の対策を法的に「義務化」する動きが本格化し、企業経営に直接的な影響を与え始めています。
「カーボンニュートラル義務化って、そもそも何?」
「専門用語が多くてよく分からない…」
「うちの会社も対象?結局、何から始めればいいの?」
ここでは「カーボンニュートラル義務化」の動向を、初心者の方にも分かりやすい解説を加えながら、説明します。
具体的な規制内容(太陽光パネル設置、排出量取引制度(ETS)、Scope3開示など)、対象者、スケジュール、背景、企業への影響、そして今後の展望まで、ポイントを押さえて整理しました。
【この章のポイント】
地球温暖化対策のため、日本は「カーボンニュートラル(※)」を目指しています。その実現に向け、国はこれまでのお願いベースだけでなく、法律などで企業の取り組みを「義務」にする動きを始めています。特に「太陽光パネル設置」「排出量取引制度(ETS)」「サプライチェーン全体の排出量開示(Scope3)」の3つが注目されています。海外でも同様の動きが活発です。(※)カーボンニュートラル(CN)とは?
簡単に言うと、温室効果ガス(GHG:地球温暖化の原因となるガス。二酸化炭素(CO2)が代表的)の排出量を、森林吸収などで「差し引きゼロ」にすることです。
日本政府が2020年に「2050年カーボンニュートラル(CN)」を宣言し、脱炭素社会の実現を国際公約としたことは、政策の大きな転換点となりました※。
※情報参照元URL:経済産業省(https://www.cn-sapo.com/cn-knowledge/mandatory.html)
これは、温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにするという野心的な長期目標です。
加えて、中間目標として2030年度にGHG排出量を2013年度比で46%削減、さらに50%の高みを目指すことが定められています※。
※情報参照元URL:外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000121.html)
この目標達成に向けた強い意志の表れとして、従来の自主的な取り組みだけでは不十分であり、より実効性のある対策が求められるようになりました。
これが、特定の分野における「義務化」が政策手段として浮上してきた直接的な背景です。
さらに、より長期的な視点から、2035年度(2013年度比60%削減)や2040年度(同73%削減)といった目標が2025年2月18日に閣議決定され、正式な国家目標として確立されています。これらの目標は新たな「地球温暖化対策計画」に盛り込まれ、同日、国連気候変動枠組条約事務局にNDC(国が決定する貢献)として提出されました。
こうした長期目標の正式決定は、2030年目標達成後も継続的かつ大幅な排出削減が必要であることを明確に示しており、政策措置の強化、すなわち「義務化」を含む規制導入の必要性を補強するものと考えられます。
こうした政策的要請は、経済成長と環境対策の両立を目指す「GX(グリーン・トランスフォーメーション)戦略」の中でも明確に位置づけられています。
GX戦略とは?
温室効果ガス削減を、経済成長の制約ではなく、むしろ新しい成長のチャンスと捉え、産業競争力向上や社会変革を目指す国の戦略です。
GX戦略は、規制(義務化など)と支援(例:GX経済移行債による20兆円規模の先行投資支援)を組み合わせた政策パッケージを重視しており、「義務化」はその重要な柱の一つと見なされています。
これは、単に環境規制を課すだけでなく、大規模な投資支援と一体で進めることで、産業界の移行を促そうとする意図の表れです。
また、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」(世界の平均気温上昇を産業革命前より1.5℃に抑える努力目標などを定めた国際協定)の目標達成への貢献という観点からも、義務化を含む国内対策の強化は国際的な責務として不可欠であると認識されています。
この一連の政策動向は、単なる努力目標から、法的拘束力を伴う具体的な義務へと段階的に移行する政府の姿勢を示しており、その達成手段として「義務化」が選択されている状況と言えます。
現在、日本国内でカーボンニュートラルに関連して「義務化」されている、または導入が具体的に進められている主な措置には、以下のようなものがあります。
※情報参照元URL:広報東京都(https://www.koho.metro.tokyo.lg.jp/2025/03/02.html)
ETS(Emission Trading Scheme)とは?
企業ごとに排出できる温室効果ガスの上限(キャップ)を決め、その上限内で排出量を抑えるか、もし超えてしまったら他の企業から排出枠を買い取る(トレード)、という仕組みです。これにより、社会全体で効率的に排出量を減らすことを目指します。
※情報参照元URL:経済産業省(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ets.html)
Scope(スコープ)とは?
企業の温室効果ガス排出量を測る範囲のことです。
- Scope1: 自社が直接排出する量(例:工場のボイラー、社用車)
- Scope2: 自社が使う電気や熱を作る際に間接的に排出される量
- Scope3: Scope1, 2以外の、自社の活動に関連する他社の排出量(例:原材料の調達、製品の輸送、従業員の通勤、製品の使用・廃棄など、サプライチェーン全体の排出量)
これらの動きは、脱炭素化に向けた取り組みが、企業の自主性に委ねる段階から、法的・制度的な枠組みの下で推進される段階へと移行していることを明確に示しています。
日本の義務化の動きは、世界的な潮流と密接に関連しています。
主要国・地域でも、カーボンニュートラル達成に向けた様々な義務化措置が導入・強化されています。
CBAMとは?
EU域内に、環境対策が緩い国で作られた製品(鉄鋼、セメントなど)を輸入する際に、EU内での製造と同等の炭素コストを負担させる仕組み。これにより、EU企業の不利を防ぎ、他国にも対策を促します。※情報参照元URL:欧州委員会(https://taxation-customs.ec.europa.eu/carbon-border-adjustment-mechanism_en)
※情報参照元URL:California Air Resources Board(https://ww2.arb.ca.gov/our-work/programs/cap-and-invest-program)
このように、排出量取引制度、再生可能エネルギー導入義務、そして気候関連情報の開示義務(特にScope3を含む)は、世界的なトレンドです。
日本がこれらの導入を進める背景には、こうした国際的な政策動向や、グローバルに活動する投資家からの要請が大きく影響しています。
【この章のポイント】
東京都では2025年4月から、主に大手ハウスメーカーなどを対象に、新築の家(一定規模以下)に太陽光パネルなどを設置することが義務になりました。家を買う人が直接義務を負うわけではありませんが、費用は住宅価格に含まれる可能性があります。東京以外の一部の地域(京都府、群馬県、川崎市など)でも同様の動きがあります。
東京都は、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」を改正し、2025年4月1日から、全国に先駆けて新築建物への太陽光パネル設置等を義務付ける制度を開始しました。
東京都の動きに続き、他の自治体でも同様の義務化が進められています。
表1:日本の主要自治体における太陽光パネル設置義務化(計画含む)の比較
| 自治体 | 施行(予定)日 | 主な義務対象者 | 主な対象建物(新築・増築) | 主な要件 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 2025年4月1日 | 大手住宅供給事業者 | 主に延床面積 < 2,000㎡ | 事業者単位での再エネ導入基準量達成、断熱・省エネ基準達成 |
| 京都府 | 2021年度~ | 建築主 | 延床面積 ≥ 2,000㎡ (2023年度~: ≥ 300㎡にも拡大) | 一定量の再エネ設備導入 |
| 群馬県 | 2023年4月1日 | 建築主 | 延床面積 ≥ 2,000㎡ | 太陽光発電設備の設置 |
| 神奈川県川崎市 | 2025年4月1日 | 建築主/大手住宅供給事業者 | 延床面積 ≥ 2,000㎡、または大手供給者の < 2,000㎡ | 再エネ設備設置 |
出典:各自治体の条例・計画に基づく情報(2025年4月時点)
このように、対象となる建物の規模や義務付けの方法が自治体によって異なる「規制の断片化」という状況が見られます。
全国展開する事業者にとっては、地域ごとの規制対応が必要です。
日本のCO2排出量のうち家庭部門からの排出は相当な割合を占めており、その削減が課題です。
屋根置き太陽光は普及の余地が大きいため、義務化で導入を加速させる狙いがあります。
また、分散型エネルギーリソース(使う場所の近くで発電するエネルギー源)の確保や、エネルギー自給率向上にも繋がることが期待されています。
【この章のポイント】
国は、主に大企業を対象に「排出量取引制度(ETS)」を導入します。これは、企業ごとにCO2などの排出量の上限(キャップ)を決め、上限を超えそうな企業は、余裕のある企業から排出枠を買い取る(トレード)仕組みです。2027年度から本格的に始まる予定で、企業は排出削減への取り組みがより重要になります。
2023年に成立した「GX推進法」に基づき、日本独自の排出量取引制度(ETS)の導入が段階的に進められています。
ETSは、キャップ&トレードとも呼ばれ、経済全体で効率的に排出削減目標を達成することを目指す仕組みです。
日本のETSの主な特徴は以下の通りです。
段階的導入:
対象ガス: 当面はエネルギー起源CO2が中心。
排出枠の設定・配分: 排出上限(キャップ)の厳しさや、排出枠を無償で配るか、有償で売るか(オークション)などの詳細は2026年度までに決定予定。これが企業のコスト負担を左右する重要ポイントです。
報告・検証(MRV): 排出量の算定・報告、第三者検証が義務付けられます。MRVとは、Measurement(測定)、Reporting(報告)、Verification(検証)の頭文字です。
ETSの本格運用(フェーズ3)における対象企業は、現時点では「特定事業者」とされ、具体的には年間CO2排出量が一定規模以上(例えばエネルギー起源CO2で10万トン超)の約300~400社が想定されています。
これは日本の産業部門・エネルギー転換部門の排出量の約6割をカバーすると見込まれています。
ただし、将来的に対象範囲が拡大される可能性も示唆されています。
表2:日本の排出量取引制度(ETS)段階的導入スケジュール
| フェーズ | 時期 | 主要な活動・対象 | 他政策との連携 |
|---|---|---|---|
| 1 | ~2025年度 | GXリーグ参加企業による自主的な目標設定・排出量報告(プレッジ&レビュー) | - |
| 2 | 2026年度~ | 発電事業者への段階的有償オークション導入開始、本格ETSの詳細制度設計 | - |
| 3 | 2027年度~ | 特定事業者(大規模排出者)に対する本格的なETS(キャップ&トレード)運用開始 | 化石燃料賦課金と連携 |
出典:GX推進法、関連資料に基づく情報(2025年4月時点)
ETSの導入は、対象企業にとって以下のような影響が考えられます。
ETSは、対象企業にとってコスト構造や投資戦略に影響を与える重要な制度であり、早期の準備が必要です。
【この章のポイント】
これまでは自社の排出量(Scope1, 2)が中心でしたが、今後は仕入れ先から製品の使用・廃棄まで、事業活動に関わる全体の排出量(Scope3)を開示することが、主に大企業(上場企業など)に求められるようになります。これにより、サプライチェーン全体での脱炭素化が重要になり、中小企業にも影響が及びます。
Scope3排出量の開示義務化が進む背景には、主に以下の要因があります。
国際的な基準策定(ISSB): 投資家などが企業の環境対応を正しく評価するため、国際的なルール作りが進んでいます。ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が、Scope3排出量を含む気候関連情報の開示基準(IFRS S2)を策定しました。
投資家の要請: ESG投資(環境・社会・企業統治を考慮した投資)の拡大に伴い、投資家は企業のサプライチェーン全体のリスクを評価するため、Scope3情報の開示を強く求めています。
国内での基準策定(SSBJ): 日本でも、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)が、ISSB基準と整合性を図りつつ日本版の基準を策定中(2025年3月末までの最終化目標)で、Scope3開示を求める方向です。
SSBJ基準(2025年3月5日公表済み)は、有価証券報告書(上場企業などが投資家向けに作成する経営状況などの報告書)での開示が想定されています。ISSB基準との整合性を確保した日本版の開示基準として正式に公表されました。
表3:日本におけるScope3排出量を含むサステナビリティ開示義務化の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準 | SSBJ基準(2025年3月5日公表済み) ISSB基準との整合性を確保 |
| 主な対象企業 | プライム市場上場企業(段階的適用) • 時価総額3兆円以上:約70社 • 時価総額1兆円以上:約180社 • 時価総額5,000億円以上:約300社 • 最終的に全プライム企業(約1,600社) |
| 開示場所 | 有価証券報告書 |
| 主な開示内容 | GHG排出量(Scope1, 2, 3)、気候関連リスク・機会、移行計画など(IFRS S2準拠) |
| 適用開始時期 | 任意適用:2026年3月期から可能 義務化: • 2027年3月期~:時価総額3兆円以上 • 2028年3月期~:時価総額1兆円以上 • 2029年3月期~:時価総額5,000億円以上 • 2030年代:全プライム企業 |
| 第三者保証 | 義務化の翌年度以降に導入予定 当初は限定的保証から開始 |
| 主要な課題 | Scope3算定の複雑さ、データ収集・品質確保、サプライチェーン(特に中小企業)への影響、保証(検証)の確保 |
出典:
- SSBJ「サステナビリティ開示基準の公表」(2025年3月5日)
(2025年3月時点)
注意点: 2027年3月期からの義務化は、対象期間が2026年4月1日から開始されるため、実質的な準備期間は既に限られています。対象企業は早急な対応が求められます。
Scope3排出量の開示は、多くの企業にとって大きな挑戦です。
Scope3への対応は、企業の持続可能性と競争力を左右する重要な経営課題となりつつあります。
【この章のポイント】
カーボンニュートラル義務化は他人事ではありません。まずは自社がどの規制に関係するかを調べましょう。そして、CO2排出量を把握する体制を作り、省エネや再エネ導入などの具体的な削減策を計画・実行することが大切です。中小企業も、取引先との連携や公的な支援制度の活用を考えましょう。
相次ぐカーボンニュートラル義務化の動きに対し、企業はどのように備え、対応していくべきでしょうか。
以下に実践的なアプローチを示します。
まずは、自社がどの義務化措置の対象となりうるのか、またサプライチェーンを通じてどのような影響を受ける可能性があるのかを正確に把握することが第一歩です。
対象範囲の確認:
サプライチェーン影響評価: Scope3開示を見据え、自社のサプライチェーン全体でどこから多くのCO2が出ているか(ホットスポット)、データ収集が難しいのはどこか、などを把握します。この評価が対策の優先順位付けに繋がります。
自社への影響度を把握したら、具体的な準備に着手する必要があります。
義務化への対応は、積極的に排出削減を進めるチャンスでもあります。
再生可能エネルギーの導入拡大:
プロセス改善・燃料転換: 電化推進、水素・アンモニアなど次世代燃料への転換、CCUS(CO2を回収して利用・貯留する技術)の導入検討。
サプライヤーエンゲージメント: 取引先(サプライヤー)と協力してScope3排出量を削減する取り組み。
製品・サービスのグリーン化: 環境に配慮した製品設計(エコデザイン)、リサイクル推進、脱炭素に貢献する新サービスの開発。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の活用: IoTやAIでエネルギー使用量や排出量を管理・最適化、サプライチェーンデータの効率化。
経営資源に限りがある中小企業にとって、義務化への対応は大きな課題ですが、Scope3の流れの中で、大企業から排出削減やデータ開示を求められるケースが増えるため、対応が重要になります。
【この章のポイント】
今後、カーボンニュートラル義務化はさらに進む可能性があります。ETSの対象が広がったり、新たな規制ができたりするかもしれません。また、CO2排出にお金をかける「カーボンプライシング」の議論や、海外との競争条件を公平にするためのルール作りも注目されます。
日本のカーボンニュートラル義務化の動きは、まだ始まったばかりであり、今後さらに加速・拡大していく可能性が高いと考えられます。
2030年目標に加え、政府内で議論されている2035年、2040年のより野心的な中間目標達成のためには、現在の義務化措置だけでは目標達成は困難であるとの見方が強いです。
そのため、将来的には以下のような規制強化や新たな措置の導入が予測されます。
様々な政策(太陽光義務化、ETS、Scope3開示、省エネ法、支援策など)が、バラバラではなく「規制エコシステム」として相互に連携し、相乗効果を発揮することが重要です。
効果的な「規制エコシステム」の構築が、今後の課題となります。
今後のカーボンニュートラル政策の展開において、以下の論点が特に重要となります。
カーボンプライシング(CP)の本格導入と強化:
カーボンプライシングとは?
炭素(主にCO2)の排出に価格を付け、排出削減を促す経済的な手法のこと。ETSや炭素税などが代表例です。
炭素リーケージと国際競争力:
炭素リーケージとは?
国内の環境規制が厳しくなった結果、企業が規制の緩い海外に生産拠点を移してしまい、結果的に地球全体の排出量が減らない(むしろ増えることもある)問題のこと。
国際的な政策協調: 気候変動は地球規模の課題であり、一国だけの努力では解決できません。パリ協定の下での各国の目標引き上げや、ISSB基準のようなグローバルなルール形成、主要国間での連携など、国際的な協調の下で政策を進めることが不可欠です。
これらの論点の今後の展開が、日本のカーボンニュートラル義務化の方向性と実効性を大きく左右します。
監修企業・豊国エコソリューションズに聞きました
ここでは、本メディアの監修企業である株式会社豊国エコソリューションズに、カーボンニュートラルについて取引先からよく聞かれる疑問について回答してもらいました。
現在、企業に関わる主な脱炭素関連法令は以下のとおりです。
省エネ法。 年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500kL以上の事業者は、エネルギー使用状況の定期報告や中長期計画の提出が義務付けられています。エネルギー消費原単位を年平均1%以上改善する努力目標もあります。
温対法(地球温暖化対策推進法)。 温室効果ガスを一定量以上排出する事業者に対して、排出量の算定・報告・公表を義務付けています。
GX推進法(改正済み)。 2026年度から、年間CO2直接排出量が10万トン以上の事業者に排出量取引制度(GX-ETS)への参加が義務化されます。また、2028年度からは化石燃料賦課金の徴収も開始されます。
排出量取引制度(GX-ETS)とは、2025年5月に成立した改正GX推進法に基づき、政府が企業にCO2の排出枠を割り当て、排出実績に応じた排出枠の保有を義務付ける仕組みです。段階的に導入が進められる点にご注意ください。 2026年度はまず対象事業者が自社の排出量等を算定する年度にあたり、排出枠の割当は2027年度、排出枠取引市場の開設は2027年秋頃の見込みです。さらに、2028年度からは化石燃料賦課金の徴収、2033年度からは発電事業者への有償オークションが開始される予定です。
直接の対象は、年間CO2直接排出量が10万トン以上の大規模排出事業者(約300~400社)です。 鉄鋼、自動車、電力、化学などの大手企業が中心で、多くの中小企業が直接対象になる可能性は低いです。
ただし、間接的な影響は確実にあります。 対象企業はScope3の排出削減のためにサプライヤーにもCO2データの提出や削減を求めてきます。制度の本格稼働を機に、取引先からの要請がさらに加速することが見込まれます。「自社は対象外だから関係ない」とは言えない状況です。
その可能性は高いと考えられます。日本だけでなく世界的に、開示義務の対象は大企業から中小企業へと段階的に拡大する流れにあります。
例えば、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)によるサステナビリティ開示基準では、大手上場企業を皮切りにScope3を含む排出量の開示が義務化される見込みです。また、EU域内では国境炭素調整メカニズム(CBAM)が導入されており、今後、輸出入に関わる中小企業にも影響が及ぶ可能性があります。
こうした流れを踏まえると、法的義務の有無にかかわらず、今のうちに排出量の把握と基本的な削減施策に着手しておくことが最善のリスクヘッジと言えます。
【この章のポイント】
カーボンニュートラル義務化は、企業にとってコスト増や対応の難しさもありますが、省エネや新しい技術導入で競争力を高めるチャンスでもあります。まずは情報収集と自社への影響を知ることから始め、早めに準備・行動することが大切です。
本記事で解説したカーボンニュートラル義務化に関する主要なポイントを改めて確認しましょう。
カーボンニュートラル義務化は、もはや遠い将来の話ではなく、企業経営に直接的な影響を与える現実的な潮流です。
この変化を単なる脅威として傍観するのではなく、早期に対応に着手することが、リスクを最小限に抑え、むしろ新たな成長機会を掴むための鍵となります。
企業が今すぐ始めるべきことは以下の通りです。
カーボンニュートラル義務化は、企業にとって挑戦であることは間違いありません。
しかし同時に、これは自社の事業を持続可能なものへと転換し、社会全体の持続可能性向上に貢献するとともに、新たな時代の要請に応えることで自社の長期的な成長を実現する絶好の機会でもあります。
引用元:豊国エコソリューションズ公式サイト(https://carbonneutral-hokoku.lp-essence.com/)
豊国エコソリューションズは、環境・エネルギー領域におけるソリューションを提案しているコンサルティング会社です。補助金・助成金を活用したコンサルティングの豊富な採択実績をはじめ、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)や排出権取引に関するサービスも提供しています。
有資格者数も多く、専門的かつ多角的なサポートを受けられるのも特徴。カーボンニュートラル分野での実績が豊富で、顧客のニーズを踏まえた提案を行っています。
豊国エコソリューションズは、省エネに関する補助金を活用した事業において、高い採択率・採択数の実績を有しています。補助事業の採択率は、2016年〜2020年9月の実績で94%を実現。提案した事業のほとんどが採択されています。一方、採択数も2011年〜2020年9月の累計で563件を数えるなど、豊富な実績を有しています。
※設備更新や補助金活用、再エネ導入検討、運用改善、SBT認証取得、製品・サービスのLCA実施などについて簡易的なアドバイスを行っています。